クロシロの物語

第1話  2000年 秋 「であい」

2000年、秋晴れのある日、ボクたちはねどこを失った。
人間がマンションとやらを建てるとかで、だいじなすまいはこわされて、
あとかたもなくなってしまった。

きょうも一日、いつものようにボクと妹はママにくっついて歩いていた。
といっても足は痛くてケンケンしないと歩けないし、
そのうえおなかがぺこぺこだ。
でも、ママと一緒なら安心さ。だってママはすごいんだ。
ママは気持ちよいねどことおいしいもののあるところを知っている。
ママの鼻がヒクヒクと動いた。「何だろう...?」
いつのまにかお花がたくさんのお庭にいた。

ママが部屋のほうに「お願いします、おなかがすいてるんです」と
呼びかけている。だれか中にいるのかな?
髪の長い女の人が出てきて「あら、大変!」と言ったきり
どこかにいってしまった。
と思ったらごはんを持ってきてくれた。最後に食べたのいつだったっけ?
久しぶりのごはんはと〜〜〜ってもおいしかった!

ママはボクたちが食べ終わるのを待ってからのこりを食べていた。
「世の中捨てたもんじゃない、やさしい人間もいるもんだ」
と思った瞬間、ボクは痛みで悲鳴を上げそうになった。
ケガですりきれてしまったつま先にシューとなにかを吹きつけられたのだ。
その女の人の手には「マキロン」というものが握られていた。

ああ、やっぱり人間はあなどれない!
クロ足跡



                     TEXT by KURO (Junko Nojiri)
ママ「ご飯ください」
クロ「足が痛いよ」
シロ「お腹すいたな」